「ここがどんなお店か、って?」
飲み物をカウンターに置くと、再び彼女は芋の皮むきに戻った。
「テーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)をする人たちの、
交流のために建てられたそうよ」
TRPG、ねぇ……。
「オーナーは中林って人なんだけど、
松山市に住んでいないから、あんまりこの店にもいないの」
どうやらこの女性は経営者ではないようだ。
君の視線の意味に気づいた彼女は、少し不服そうに肩をすくめる。
「あ、私?
私は……うーん、名前はちゃんとあるんだけど、
みんな 鍋子って呼ぶから、あなたもそう呼んでくれていいわよ」
な、鍋……?
店の名前のせいだろうか。
「まぁかれこれ5年近くここに勤めてるしね……。
さっきも言ったとおり、オーナーも滅多にいないから、
鍋の管理はいつも私がしてるし……」
むき終わった芋を手荒に刻むと、次々と鍋に放り込んでいく。
「ごめんなさいね、夕食の仕込みの時間なものだから。
でも、期待してていいよ。飛び切り美味しい料理、作るから。 ……鍋が」
管理、ねぇ……?