福岡三姉妹物語(天神編)

 

「この街は変わりつづけるんだよ」

 たしか前回も同じフレーズで始まったような気がするがまぁいいだろう。

 実際にこの街は変わっているのだから。

 西鉄のターミナルから発展し、九州の商都、アジアの商都に駆け上がろうとする福岡の中枢。天神。

 それは、変幻自在に変わり続けた証拠でもある。

「やっほ〜相変わらず栄えているわね。天神ちゃん」

「百地も相変わらずね」

 で、私のほうに振り向いておじきを一つ。

「百地達がお世話になっています」

 

 今日は週に一度の裁判所の帰り。例によってあの三人もついてきたので今回は百地の紹介で天神に挨拶をしようという事となった。

 で、挨拶はしたものの……妖怪というよりも異人さんと言った方がいいのかもしれない。

 白磁のような肌、黒曜石のような長い金髪、小さくて赤い唇に、優しそうな瞳、纏っているのがシャネルにグッチ。

 モデルというより生きたマネキンという感じもしないではない。

 人ではない。日本人ではない。そんな空気を持っている感じがした。

「私の正体は百鬼夜行なんですよ」

 さらりと正体をいってのけるが、いまいち分からない。

「はい。これ」

 と気づいてみたら書店で妖怪の本を持っていた。当然彼女のしわざだろう。

 この街には無いものがない。

 日本で出回るものが九州に運ばれるのならば必ずこの街に並ばれる事になるから。

「どれどれ……妖怪の行列ぅ??」

「私たちにとって見れば、人の方が十分に妖怪です」

 なんとなくわからんではない。

 天神の中枢。渡辺通りにはひっきりなしに車が通り、地上・地下街とも人が居なくなるということが無い。

 今のファッションを見ればどっちが妖怪だか分からない気もする。

 けど、それならば博多も変わらない気もするが?

「博多と比べないでください。年齢でいったら私はせいぜい江戸時代からですから若いんですよ♪」

 ……若いのか……

「私がこの正体になったのも、近年福岡に支社が集まりだしてからですからまだ50年もたっていないし♪」

 なるほど…って正体変わるんかい!!

「変わりますよ〜」

 あっけらかんと言ってのける彼女。

「正確には人が定義するんですよ。『お前は〜だ』って。

 私たちはその人がつけた意味を後追いしているに過ぎません」

 なるほどなぁ……

「そろそろ時間だよ」

 百地に腕をひっぱられて西鉄福岡駅に駆け込む。この駅には待つという言葉は無い。

 あ、そうだ。名前つけないと。

 列車に駆け込み乗車をした跡に気づいた。

「まつり。天神まつりよ〜♪」

 彼女の名前が聞こえたと同時にドアが閉まり、列車は走り出した。

 

「「で、私たちの出番は??」」

「あ!?」

 すまん。文に美琴……

 

 地域密着型18禁エロゲー企画サブキャラ編。第二弾。天神まつりでした。

 段々妖怪のストックが苦しくなってゆく〜(@-@)