きっかけは一匹の蚊だった。

 ちくり。ぷ〜ん。

「蚊か……」
 さして気にも止めずにGHの和室部屋から出てゆく蚊を見送ったバフォ。全身毛に覆われているので刺される心配も無いし、手に持ったみかんを置いて蚊を潰すのもめんどくさい。
……はずだった。
「ぬっ……か、痒い……猛烈に痒い……」
 しかも痒さの元凶は股間部。あそこには、毛に覆われてない部位が一つある。
 ……痒さを我慢しながらバフォの頭の中である想像がよぎり汗エモが出る。
(まずい……こんな所をダークロードに見られたら百年はネタにされる……)
 幸いダークロードはボス出没時間の仕事でいない。
 掻きたいのは山々だが下手に掻いて傷でもついたらそれこそ馬鹿にされる。
「はっ!」(電灯エモ)
 思い出す。この部屋は妻によって盗聴器が仕掛けられているのだった。
「頼むっ!ピンチなんだっ!!至急来てくれ!!!」
 もはや、魔王の威厳すらない切羽詰まった声で部屋のどこかの盗聴器に助けを求める。
「何?一体どうしたのっ!!」
 流石に危機を感じたのか、完全装備で現れたママプリに事情を説明したら小一時間笑われたというのはお約束。

「しかしまぁ……見事に腫れちゃって……」
 じけじけと肉棒の先っぽの蚊の刺し跡をつんつん触るママプリ。しごいたりしゃぶったり入れたりと散々している肉棒のちょっとした変化に少々興奮気味。
「頼む。痛みと違って痒みはどうにもならぬし、下手に掻いて肉棒に傷をつけたらお前も困るだろう。速くキュアーをかけてくれ……」
「しょうがないわねぇ……ぺろぺろ♪」
「こらっ!痒い所を舐めるなっ!」
「ちゅちゅ……痒みを吸い出しているのぉ……だぁめ?」
「うっ……まぁ、気持ちいいし……」
 肉棒を咥えたままの上目遣いのおねだりについつい答えてしまうバフォ。悪乗りして更にいやらしくしゃぶるママプリ。
「ぺろぺろ……私もぉ…蚊に刺されて腫れている所があるのぉ……」
「腫れているじゃ無くて濡れているだろ…んっ…」
「もぉ……完全武装してこなければよかった……ショーツもスパッツも濡れちゃう…ちゅ♪」
「脱がせてやるから……69の姿勢になって……」

「バ フ ォ メ ッ ト 殿 に 奥 方 様 ? 貴 方 が た と い う 人 は 人 様 の 城 で な に を し て お る の だ ?」

「あ……」
「ぁ……」
 仕事が終わり一休みと思って部屋に入ってきたイリューが見た物は、69の姿勢で股間を舐めているママプリと濡れたスパッツとショーツをずり下ろそうとするバフォ。
 驚きと呆れがミックスされて目には怒りが込み上げてきている。
「おぃ!ここは俺の城だぞ!!だから俺も混ぜ……へぶっ!!!」
 横から涎をたらして近づこうとしたダークロードを一撃の隕石で沈めて二人近ずくイリュー。殺る気まんまん。
「違うっ!これは不可抗力だっ!!」
「そうよっ!私だって好きでやっているんじゃないよ!」
「ほほう……では、どのような不可抗力でこのような破廉恥な格好になっているのか是非教えてもらいたい……」
 とりあえず、バフォとママプリはお互いの顔を見て、真実を言う事にした。
「「蚊が悪い(のよ)」」
 ぶちっ!と何かか切れたような音がした。

 ちゅどぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんんんん!!!!

「あれ? イリュー様が怒っていらっしゃいますが?」
「どうせ、ダークロード様がまた馬鹿な萌え発言でもなさったんだろう。アリス。迷惑をかけるが掃除を頼む」
「はい」
 GHは別の意味で平和だった。



あとがきみたいなもの

 GH設定はLiveRO板の深淵の騎士子スレに準拠。